乳児との愛着形成
愛着とは?
愛着とは、『乳幼児と特定の養育者(親や保育者)との間に形成される緊密な情緒的交流や結びつき』を指します。
特定の養育者とあるため、母親だけでなく、もちろん父親と乳幼児の間にも形成され得ます。
愛着は「アタッチメント」とも呼ばれます。
赤ちゃんは、生きるためや安心感を得るため、泣いたり声を出したりして養育者に働きかけます。
つまり子どもが不安を感じたり、危機的だと感じたりする状況では、特定の養育者との間で情緒的な安定を取り戻そうとするのです。
赤ちゃんや子どもからの養育者に対する働きかけと、その働きかけへの養育者の応え方が相互に作用し、両者間に情緒的結びつき(=愛着)が作られていきます。
これを「愛着形成」と呼びます。
愛着が形成されると、赤ちゃんは”この人は自分に何かあったときにきっと助けてくれる”という確信や安心感を抱くようになります。
これが「基本的信頼感」と呼ばれるもので、その後の対人関係に影響してきます。
基本的信頼感が形成され、主な養育者を何かあった時の安全なよりどころ(安全基地)として認識できるからこそ、自由に外の世界への探索行動をすることができると言えます。
愛着が何らかの要因によってうまく形成されず障害されてしまうと、幼児期になっても養育者と分離することに不安を示したり、他者や社会に対する信頼感が低くくなってしまいます。
愛着が障害されるとは?
子どもへの虐待など、愛着形成を阻害したり、子どもの心と身体の健全な発達を阻害する養育のことを「マルトリートメント」と呼びます。
愛着関係がうまく形成されない状態を「愛着障害」と呼びます。
アメリカ精神医学会から出されたDSM‐5では、「愛着障害」は心的外傷およびストレス因関連障害群に分類され、生後9か月~5歳の時点で症状が見られる必要があり、「反応性アタッチメント障害」と「脱抑制型対人交流障害」の2つに分けられます。
反応性アタッチメント障害は、子どもが安全基地を持てず、気持ちの表出も最小限というような状態です。
一方脱抑制型対人交流障害は、無差別な愛着を示すというもので、初対面の人に対しても馴れ馴れしい態度を見せるものです。
脱抑制型は、一見すると社交的に見えますが、よく見ると特定の重要な他者が定まっておらず、その場限りの自己利益的関係しか成り立っていません。
赤ちゃんとの愛着形成に必要なこととは?
まずは下記の動画をご覧ください。
この無表情実験からもわかる通り、愛着の形成に必要なことは、乳児が示した行動や感情に対してちゃんと反応することです。
これを発達心理学では「情動調律」と言います。
例えば、赤ちゃんの示す感情表現に対し親が言葉で応答する、というように、赤ちゃんの心の状態がこちら側にはこのように伝わっているということを、別の次元で伝え返すかかわりのことを指します。
これは、単に親が子どもの反応に敏感ということではなく、子どもの視点から物事を見ることが重要だと考えられます。
愛着について研究している篠原(2015)は、愛着形成を助ける親の特性を4つ挙げています。
①メンタライジング能力:自分自身や子どもの行動について、心の状態から考えることができる能力
②洞察性:子どもの心の在り方の多様性を考え、柔軟に受け入れること
③心を気遣う傾向:いくら幼い子どもであっても、心を持った一人の人間としてかかわること
④情緒的利用可能性:子どもにとっていつでも「利用可能」であるため、支援的で温かい態度を持って傍にいること
もし乳幼児のお子さんとのかかわりで困っていたら、これらの特性をヒントにかかわりを見直してみると良いでしょう。
