子どもの心を育てる4つのヒント:感情を支え、安心と信頼を育むために─心理学から学ぶ子育ての基本

子どもとの暮らしは、楽しい反面、悩みや戸惑いもつきものです。

特に感情の扱い方やしつけの方法など、「これでいいのかな」と迷う場面も多いのではないでしょうか。

この記事では、心理学の視点から、子どもの成長を支えるために役立つ7つのヒントをご紹介します。

まずは前編として、1〜4のヒントをお伝えします。

感情を「ちょうどいい大きさ」にする

幼い子どもを育てる親には、たくさんの忍耐が求められます。
私たちは誰でも、感情が大きくなりすぎたり、コントロールできなくなったときには、それを調整しようとします。

そして子どもは、まさにその「感情の扱い方」を学び始めたばかりです。
親の役目は、子どもが全身で感じている「大きすぎる感情」を、ちょうどよい大きさにする手助けをすることです。

感情が落ち着いてくると、「その感情が何を伝えようとしているのか」を理解でき、問題解決にもつながります。


多くの親は「タイムアウト(子どもを一人にして気持ちを落ち着かせる方法)」を勧められることがあります。
しかしこれは「子どもが自力で感情を落ち着けられる」という前提に立っており、感情の扱い方をまだ学び始めたばかりの子どもには適していません

子どもが大きな気持ちでいっぱいになっているときは、一人にしてはいけません。
たとえば、こう伝えてみましょう。

「今、一緒に座ろうね」
「この大きな気持ちを、ちょうどいい大きさにするのを手伝うよ」
「片手に収まるくらいになったら、それについてお話できるかも」
「私の指をぎゅっと握ってみてごらん」

こうして一緒に気持ちを小さくする体験を重ねるうちに、子どもは少しずつ自分で感情を整理する方法を身につけていきます。

「シェア」ではなく「順番を守る(フルターン)」

2〜3歳ごろの子どもについて、多くの親は「うちの子はちゃんとシェアできているのかな?」と心配します。
しかし実は、「シェア」という考え方自体が少し誤解を生みやすいのです。

たとえば、トラックのおもちゃは半分にできません。
それは「シェア」ではなく、「順番を守る(ターンテイキング)」という考え方が必要です。


順番を守る力は、発達の視点からとても大切です。
生後6か月ごろの赤ちゃんは、「大人に物を渡して、また返してもらう」遊びが大好きです。
この繰り返し遊びが、順番を学ぶ土台であり、会話の基礎にもなります。

子どもは「自分の順番がちゃんと守られている」と感じると安心し、他の子の順番も尊重できるようになります。
そうすると争いが減り、自分の順番が終わったあと、自然に次の子におもちゃを渡すようになります。

ただし、順番を待つには「待つ力(フラストレーション耐性)」が必要です。
ターンテイキングと待つ力は、表裏一体のスキルなのです。

「3つのバケツ」

「3つのバケツ」とは、物事を次の3つに分けて考える方法です。

  • 子どもが決めること(=子どもがコントロールできること)
  • 親や先生が決めること(=大人がコントロールすること)
  • 誰も決められないこと(=コントロールできないこと)

親子で遊びながら学ぶこともできます。
3つの容器を用意して、紙に書いたお題を入れていきます。

たとえば
「ベッドに入る時間は?」→「親のバケツ!」
「寝ること自体は?」→「子どものバケツ!だって体は自分のものだから!」

ノーラちゃんが「おまるでおしっこできたよ!」と言ったなら、それは「子どものバケツ」です。
一方、パパが「雨を止めたい」と言っても、子どもは「それは3番目のバケツ。誰も止められないね」と言うでしょう。


この方法は、親が「これは私のバケツにあることだから、あなたが決めることじゃない」と説明するのにも使えます。
親子間の衝突を和らげるだけでなく、子どもが「自分でできること」を理解し、自信をつける助けにもなります。

しつけ(ディシプリン)

たとえば、子どもが家具や壁にチョークで落書きをしたとします。
そのときに「ゲームの時間を取り上げる」といった対応は**「罰(パニッシュメント)」**です。

一方、「しつけ(ディシプリン)」とは本来、**「教えること・学ぶこと」**を意味します。


たとえば次のように関わってみましょう。

「チョークは黒板など決められた場所に使うんだったね」
「次は忘れないようにするにはどうしたらいいかな?」

そして「今日は公園に行く予定だったけれど、その前に一緒に洗剤と雑巾で落書きを消そうね」と伝え、具体的な行動を通して学びにつなげます


本当のしつけとは、子どもが「先のことを見越して判断する力」を育てることです。
5〜6歳ごろになると、「もしこれをしたらどうなるかな?」と予測して行動を選べるようになってきます。

大人ができるのは、「実際に起きたこと=結果」をよく観察し、それを学びのチャンスとして伝えることです。
こうした経験の積み重ねが、やがて子どもの中に内在化され、「自分で判断する力」となっていきます。


今回ご紹介した1〜4のヒントは、どれも「子どもに安心感を与え、少しずつ自分で考える力を育てる」ためのものです。

親が感情の調整を手伝い、順番やルールを丁寧に伝えていくことで、子どもは安心して挑戦できるようになります。

後編では、心の中の「内なる助っ人」を育てる方法や、死への疑問への向き合い方など、さらに深いテーマを扱います。ぜひ続けてご覧ください。

(参考資料紹介)

今回の記事は、長年子どものカウンセリングに携わっている2人の精神分析家のインタビューを参考に作成しています。インタビューは以下の動画にてご覧になれます。

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